【専門家が解説】ソーラーカーポートを選ぶ前に知っておきたいこと
そもそもソーラーカーポートを設置できるのか
ソーラーカーポートは駐車場のスペースを活用でき、脱炭素の取り組みを率先して行っていることをアピールできることから導入する事業者が増えています。
しかし、条件によってはソーラーカーポートを設置できない、または設置に適さない場合もあります。まずは設置可否の条件を把握し、ソーラーカーポートを設置しても問題がないかチェックすることが大切です。
ソーラーカーポートが設置できない場合
ソーラーカーポートは、カーポートの屋根に1枚当たり14~20kg程度のソーラーパネルを載せるため、その重量に耐えられる素材でないと設置できません。具体的には、透明またはすりガラス状の素材であるポリカーボネート板を使用している場合は設置できない場合があります。
また、周囲に高い建物や木々があるなど日当たりが悪い場所は、発電効率が落ちるため設置に向きません。カーポートは一般的な建物よりも高さがないため、日陰に入る時間が長くならないか確認しておく必要があります。
積雪量の多い地域や日照時間の短い地域も十分な発電量を確保できない可能性が高いため、ソーラーカーポートを設置する地域の気候条件などを把握しておくことが大切です。
そのほか、1台分のスペースしかないカーポートは設置できるソーラーパネルが少なく、満足な発電量を得られない可能性が高いため設置には適していません。
ソーラーカーポートの発電量はどのくらいか
ソーラーカーポートを設置する際には、どのくらいの発電量があるかチェックしておくことが必要です。
ソーラーカーポートの発電量とは
ソーラーカーポートの発電量は、一般的には2台分のスペースで約4~5kW程度、3台分のスペースでは6kW程度です。
なお、安定して出力し続けられる電力の量が10kWを超えると事業用とみなされ、後述のように固定資産税の対象となります。駐車台数の目安としては、4台分以上のスペースになると10kWを超える可能性があるため、注意が必要です。
ソーラーカーポート本体の費用だけでなく、設置全体にかかる費用もチェック
ソーラーカーポートを設置する際には、カーポート本体の購入費用以外にもさまざまな費用がかかります。そのため、事前にソーラーカーポートの設置にトータルでどのくらい費用がかかるか確認する必要があります。
ソーラーカーポートの設置に必要な費用とは
ソーラーカーポートの設置にかかるメインの費用はカーポート本体の費用です。カーポートのサイズやソーラーパネルの枚数によって価格は変わりますが、2台分のスペースの場合200万円程度が相場です。
ソーラーカーポートの架台や杭工事等の費用も必要であり、本体同様、設置するサイズやパネル枚数によって変化します。
また、蓄電池やV2H(Vehicle to Home)などオプションを導入する場合、その費用もかかります。費用相場として、住宅用蓄電池は100~200万円、V2Hは40~100万円程度はかかることを見込んでおきましょう
ソーラーカーポートの設置に必要な費用については、以下の記事で詳しく解説しています。
必要な手続きやかかる税金を知っておく
ソーラーカーポートを設置する際には、設置にかかる費用だけでなく必要な手続きや税金についても確認する必要があります。
必要な手続き「建築確認申請」
ソーラーカーポートは、一般的には建築基準法における「建築物」に相当します。「建築物」と聞くと、住宅や工場などを想定するかもしれませんが、カーポートも土地に固定されており、柱と屋根があることから法律上は建築物に相当します。
そのため、ソーラーカーポートを設置する場合には、建築基準法等に則って設置されているか確認する「建築確認申請」という手続きが必要となります。建築基準法に違反すると火災発生時に延焼を招きやすいなど防災面で悪影響が生じる可能性があるため、建築申請を行い、完了検査を受けた上で検査済証の交付を受けなければなりません。
ただし、以下の条件すべてを満たす場合には建築確認申請は不要です。
①ソーラーカーポートの柱と柱の間の面積が10平方メートル以内の場合
②防火地域および準防火地域外である場合
③既存建築物の敷地内の増築であり、用途上不可分の建築物である
なお、建築確認に必要な費用は自治体によって異なりますが、基本的には床面積に応じて費用も高くなります。必要な予算の相場は15万円から30万円程度です。
建築確認申請の詳細については以下の記事で詳しく解説しています。
ソーラーカーポートに固定資産税がかかる場合もある
ソーラーカーポートは、設置する条件などによって固定資産税がかかる場合があることにも注意が必要です。具体的には、前述のように電力量(定格出力)が10kWを超える場合や、ソーラーカーポートの3方向(左右両側と後ろ)以上が壁に囲まれているなどの条件を満たすと固定資産税の課税対象となる場合があります。
固定資産税とは、土地や建物など長期的に保有する「固定資産」に対して課せられる税金であり、固定資産の所有者が納税の義務を負います。固定資産税の税額は、原則として資産評価額(取得額から減価率を割り引いた額)に対して1.4%をかけることで算定します。
たとえば、駐車場4台分のソーラーカーポートの取得に350万円を要した場合の固定資産税額は、1年目が約45,500円、2年目が約39,000円です。
固定資産税がかかる条件や費用の計算方法などの詳細は以下の記事をご覧ください。
チェック項目を踏まえたソーラーカーポートの選び方
本記事でご紹介したように、ソーラーカーポートを比較検討する際には、日当たりやカーポートの素材といった条件面で設置に適しているか、設置全体にかかる費用がどのくらいか、また建築確認申請や固定資産税の対象となるのか(対象となる場合にはそれぞれどのくらいの費用がかかるか)、といった点を事前に確認しておくことが大切です。
これらの事項を踏まえ、設置にかけることのできる予算と相談しながら最適なソーラーカーポートを選びましょう。
下記の資料では、ソーラーカーポートの比較ポイント・選定方法をチェック項目の形式でより詳しく解説していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
お役立ち資料
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