工場に太陽光発電を導入するには?メリットやデメリット・注意点を解説

2024年2月29日
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電気代高騰は、工場を所有する製造業にも深刻な影響を与えています。そこで電気代削減のために産業用の太陽光発電の導入を検討される事業様が増えています。本記事では工場に太陽光発電を導入するメリットやデメリット、注意点を解説します。

太陽光発電を工場で導入するメリット

太陽光発電を工場で導入するメリットとしては以下の6つが挙げられます。

電気代を削減できる

太陽光発電設備で発電した電力を電力会社へ売電するのではなく工場施設で自家消費する場合、工場施設の電力消費量を賄うことができます。その分、電力会社からの電気の購入量を減らせるため、基本料金や電気使用量などの電気代を低減することが可能です。

太陽光発電は日中の発電量が多いため、日中に稼働することが多い工場では大きな電気代削減効果が見込めます。自家消費した電力分は再エネ賦課金を負担する必要がないため、自家消費型の太陽光発電の導入がおすすめです。
自家消費して電力の購入量を抑えることで、さらなる電気代高騰に備えることもできます。 どれくらいの電気代削減が可能かについては、設置業者に見積を依頼しましょう。

税制優遇による節税効果が得られる

工場に太陽光発電システムを設置した際の費用は、減価償却費として経費に計上することが可能です。設備の維持管理やメンテナンスに関する費用も、経費として計上できます。 また、以下のような税制優遇措置を受けられる場合があります。

・中小企業等経営強化税制 中小企業が自家消費型の太陽光発電設備を導入する場合に、税額控除を受けられる制度です。「中小企業の経営力強化」を目的に、設備の導入取得費用を導入初年度に一括で償却、もしくは設備の取得費用のうち一定の割合を法人税から控除する仕組みです。適用期限は2025年3月末までとなっています。

・中小企業投資促進税制 中小企業が事業に供する目的で太陽光発電設備を導入した場合、設備取得費用のうち最大で30%を特別償却、もしくは一定の割合を税額控除できる制度です。ただし、全量を売電する場合は対象外となります。適用期限は2025年3月末までです。

・先端設備導入計画に基づく固定資産税の軽減措置 中小企業が所定の認定要件を満たして太陽光発電設備を導入する場合、対象設備の固定資産税の課税標準が3年間、2分の1に減免される制度です。適用期間は2023年4月1日から2025年3月31日までです。

脱炭素経営ができる

太陽光発電は火力発電と異なり、発電時にCO2が発生しません。工場の屋根に太陽光発電を設置して発電した電気を使用した場合、その発電量に相当するCO2排出量を削減したこととみなされます。
温室効果ガス(CO2)の排出削減に取り組むことは、昨今注目されているSDGsやESGへの対策として役に立ち、取引先等からの信用獲得にもつながります。

このように、工場に太陽光発電を設置することで脱炭素経営の実現に近づき、さらに自社の環境意識の高さを示すことでブランドイメージの向上につながります。

工場立地法の対策ができる

一定以上の敷地面積や建設面積を有する工場(製造業、ガス供給業、熱供給業、水力・地熱・太陽光発電所を除く電気供給業)は、工場立地法により「特定工場」に指定され、国や自治体が定める準則に従って施設を整備する必要があります。 具体的には、敷地面積9,000㎡以上、または建築面積3,000㎡以上の工場が対象であり、前敷地のうち環境施設を25%、緑地を20%以上整備することが義務付けられています。

このうち、環境施設には太陽光発電を含めることが可能です。そのため、太陽光発電設備を導入することで工場立地法による規制の条件を達成しやすくなります。

BCP対策ができる

BCP(事業継続計画)とは、災害などの非常事態が発生した際に、自社の事業に対する被害を最小限に食い止め、迅速に復旧するための計画です。 大規模な災害が発生に伴い停電が発生すると、工場が稼働停止して莫大な損失が発生するリスクがあります。

太陽光発電で自家消費できる体制を整えておくことで、停電発生時にも工場において最低限の生産活動を維持でき、莫大な損失の発生を回避できる可能性が高まります。

遮熱や断熱の効果が期待できる

太陽光パネルを工場の屋根に設置することで、屋根の遮熱・断熱効果が得られます。これは、屋根に直接当たっていた日光を太陽光パネルが遮り、屋根で発生する熱伝導を抑えられるためです。 この遮熱・断熱効果により夏場の工場内の温度上昇を抑制でき、エアコンの設定温度を導入前より高くできるため、電気代抑制や環境対策に貢献します。

太陽光発電を工場で導入するデメリット

一方で、太陽光発電を工場で導入することにはデメリットもあります。

初期費用が高額

工場は敷地が広いため大規模な発電設備を導入できますが、その分設置費用は高額になります。 産業用太陽光発電の平均的な費用相場は、1kWにつき18~25万円ほどです。単純計算ではありますが、100kWの太陽光パネルを設置するのであれば、1,800~2,500万円程度の費用がかかることになります。

なお、上記は太陽光パネルやパワーコンディショナー等の本体価格に加え、工事費や設置用の部材費、架台を固定するための基礎工事なども含んだ価格です。

メンテナンスが定期的に必要

太陽光発電設備は屋外に設置するため、パネルが鳥などの野生動物のフンや花粉による汚れが付着したり、台風など自然災害によって破損したりすることがあります。そのため、定期的なメンテナンスが必要であり、その都度費用がかかる場合があります。

メンテナンスを実施する箇所は太陽光パネルやパワーコンディショナーといった本体機器のほか、ケーブルや架台、キュービクルなども対象です。目視に加え、機器を用いた電気測定や温度調査なども点検の一環として実施します。 定期的にメンテナンスを行うことで、故障や劣化による発電量の低下を抑えられ、長期間にわたり効率的に運用できます。

天候によっては充分な発電量が得られない

曇りや雨、雪、夜間など日射量が十分でない場合は十分な発電量を確保しにくく、天候によって発電量が左右されてしまうことはデメリットの1つです。特に、夏に比べて冬は日の出が遅く日没が早いことから日照時間が短いため、発電量が少ない傾向があります。
国内でも地域によって日照時間等の気候条件は異なるので、設置する地域の条件を踏まえ発電量をシミュレーションしてもらう必要があります。

発電出力が高圧の場合はキュービクルが必要

キュービクルのある高圧工場に太陽光発電を設置する場合、必ずキュービクルを通さなければなりません。キュービクル側に太陽光発電での発電量を受け入れるだけの容量がない場合、改造するか新設する必要があります。 なお、キュービクルを改造するには「第一種電気工事士」の資格が必要であり、最低200万円の費用がかかります。

太陽光発電を工場で導入するにはソーラーカーポートがおすすめ

ここまでご紹介したように、太陽光発電を行うには工場の建物の屋根にソーラーパネルを設置する方法もありますが、工場の敷地にある駐車場の屋根にソーラーパネルが設置されたソーラーカーポートの導入がおすすめです。

ソーラーカーポートとは

ソーラーカーポートとは、柱と屋根で構成された車庫(カーポート)の屋根に太陽光パネルを設置した太陽光発電設備です。駐車場の屋根という空きスペースを有効活用でき、設置費用が比較的安価というメリットがあります。

ソーラーカーポートが工場と相性が抜群な理由

工場には車やトラックなど事業用の自動車が多いため広い駐車スペースを確保する必要があり、大規模なカーポートを設置しやすい特徴があります。その分多くのソーラーパネルを設置できるため、太陽光発電を通じて多くの電力を生み出すことができます。

工場にソーラーカーポートを導入する場合に確認しておくこと

工場にソーラーカーポートを導入する際には、以下の点を確認しておく必要があります。

電力使用状況の把握

まずやるべきことは、工場で使用している電気使用量の把握です。 電力を多く使っている時間帯やその消費量を分析することで、ソーラーカーポートでどのくらいの電力量を作り出し、自家消費に充てれば良いか目安が分かります。 電力会社では30分間単位の平均電力使用量(デマンド値)を1ヶ月単位で記録しているため、その数値を取得できます。

高圧・特別高圧の電力契約では、最大のデマンド値が基本料金の基準となるため、ソーラーカーポートで作り出した電力を自家消費することで、最大デマンド値の上昇を抑え、電気代の抑制につなげることができます。

ソーラーカーポートの設置環境の確認

ソーラーカーポートの設置を予定している環境が太陽光発電に適しているか確認することも重要です。例えば屋根が北向きの場合や、大きな影を作りやすい高い建物や樹木などが近くにあると、十分な日照量を確保できないおそれがあります。

また、ソーラーカーポートを設置することで駐車の利便性を下げてしまわないかも確認しておきましょう。柱が片側にしかない片持ち屋根のタイプであれば、駐車がしにくくなる心配はありません。

対象となる補助金や助成金制度をチェックしておく

ソーラーカーポートを設置する際には補助金や助成金を利用できる場合があります。補助金が申請できる条件や対象について、設置業者に確認しておくと良いでしょう。
ただし、補助金は申し込む事業者が多く、すぐに終了してしまうものもあるため注意が必要です。

また、法改正によって適用期間が延長されたり制度が変更されたりすることもあるため、実施主体の省庁等が発信する情報をこまめに確認しておきましょう。 ソーラーカーポートの補助金についてはこちらの記事で解説しています。

【関連記事】【2023年度版】法人向けソーラーカーポートの補助金制度

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失敗しないソーラーカーポートの選び方
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