アンシラリーサービス

アンシラリーサービスとは、送電・配電系統側の周波数や電圧を制御するための予備電力を確保するサービスのことです。確保された予備電力は、電力系統や発電所が故障したときに対処するためにも使われます。アンシラリーサービスの利用により電気の周波数は一定になり、安定して電力を利用できるようになります。


アンシラリーサービスの登場の背景には、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの普及があります。電力会社からの送電だけでなく、再生可能エネルギー設備を保有する需要家からの送電もできるようになり、逆潮流が発生して電源品質が低下する恐れがありました。そこで電力の品質を安定させる補助的な備えとして、アンシラリーサービスが登場したのです。


電気には、需要が供給を下回ると周波数が上昇し、需要が供給を上回ると周波数が低下する特性があります。周波数の上昇を感知したら発電出力を抑え、逆に周波数が低下したら発電出力を増加させるといった調整を行うのが、アンシラリーサービスです。電力の需要者がアンシラリーサービスを利用する場合は、電力会社からアンシラリーサービス料の支払いが求められます。


再生可能エネルギーはまだ火力発電ほど安定した電力供給ができないため、現在のアンシラリーサービスは電力を安定させるために重要な役割を果たしています。アンシラリーサービスが機能しなくなると照明の明滅の発生、工場が稼働しなくなる、非常用の予備発電設備が使えなくなるなど、さまざまなリスクを抱えることになります。