ソーラーカーポートを設置する前に確認しておきたいポイント6つを解説

2023年9月13日
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近年注目を集めているソーラーカーポートには、申請に必要な手続きがあり、活用できる補助金があるなど、設置する前に押さえておきたいポイントが多々あります。本記事では、ソーラーカーポートを設置する際のポイント6つを解説します。

ソーラーカーポートを設置する流れ

以下では初めてソーラーカーポートを設置する方向けに設置の流れを解説します。

1.導入計画を立てる

まずはソーラーカーポートの導入計画を立てます。「電気代の削減」「余剰電力の売電」といった設置目的や期待する効果を整理し、導入前にはリスクや注意事項を確認します

特に、ソーラーカーポートの種類によっては、「メンテナンスや修繕が面倒」「利用者にとって不便となる」というリスクが伴う可能性もあります。

また、計画時にはどこに設置するか、駐車する台数を決めておきましょう。設置場所によっては十分な日射量が得られるか調査が必要となったり、台数によっては求める発電効果が得られるかシミュレーションが必要となります。

ソーラーカーポートの導入メリットである「電気代削減」についてはこちらのページでも紹介しております。

2.製品と施工業者の情報収集を行う

ソーラーカーポート本体の情報や施工・設置業者の情報を収集します。予算と相談しながら、太陽光発電システムやソーラーカーポートを専門に販売している業者を探して依頼したり、太陽発電の見積りサイトを利用したりして最適な製品や業者を見つけます。

ソーラーカーポートの種類には一体型・搭載型・オーダーメイド型などがあり、形状も片持ち屋根・両持ち屋根があります。また、施工・設置業者には建築申請も行ってくれるところもあるため、複数の業者から情報収集を行い比較することをおすすめします。

3.現場調査を依頼する

ソーラーカーポートを設置する前には、効率的な発電を実現するため施工業者が現場調査を行い、日照状況やカーポートの大きさ、電気系統を確認する必要があるため、調査依頼を行います。

日照量は調査時点だけでなく、朝方や夕方の日照量もチェックしてもらう必要があります

太陽光パネルを設置するカーポートの面積や必要な強度の確認も、必要となります。

4.建築確認申請を行い、施工を開始する

ソーラーカーポートは柱と屋根があり、土地に固定するため、建築基準法上の「建築物」に該当します(床面積が10平方メートル以上の場合)。そのため、自治体の建築指導課などの担当部署に建築申請を行う必要があります。申請はカーポートの施工業者など、専門の会社に代行してもらうのが一般的です。

申請後に建築確認済証が交付されてから施工を開始します。

ソーラーカーポートを設置する際のポイント6つ

ソーラーカーポートを設置する際には、以下6つのポイントを押さえることが大切です。

1.設置環境の日照量や光害を確認する

導入計画時の注意点の1つとして、日射量や光害の確認があります。

ソーラーカーポートの発電量は、天候や周辺環境に左右されます。そのため、一般的なソーラーカーポートの発電量以外にも、設置する場所の日照量や光害の状況を現場調査によって把握することが大切です。日照量と光害の概要は以下の通りです。

・日照量

太陽光発電の発電効率は日照量の多さと密接に関係します。特に、強い日差しが期待できる10時から15時頃までの時間帯に、カーポートの屋根が日陰にならないか把握しておきましょう。カーポートは家屋の屋根よりも低い位置にあることが多く、日照時間の短い地域や周りに高層建築物がある場合、通常の家屋よりも日照量が減少しやすくなる可能性があるため注意が必要です。

・光害

光害とは、過剰な光や不要な光によって周辺環境に悪影響を与える公害のことです。環境省の「光害対策ガイドライン」では、「良好な照明環境の形成が、漏れ光によって阻害されている状況又はそれによる悪影響」と定義されています。
太陽光パネルは太陽光を反射するため、光害を引き起こす可能性があります。太陽光の反射角度などを事前に確認し、光害を引き起こさないよう配慮しましょう。

出典:環境省「光害対策ガイドライン」
https://www.env.go.jp/content/900400074.pdf

2.設置にかかる費用を確認する

ソーラーカーポート本体の費用だけでなく、その設置にかかる費用も生じるため、内訳や各費用のシミュレーションを行っておくことが大切です。

設置にかかる主な費用としては、以下のものがあります。

・架台
・杭工事
・確認申請費用
・手続き費用
・地盤調査架台
・蓄電池やV2Hなどのオプション費用
・固定資産税(条件に当てはまる場合)
・建築申請費用

なお、費用感としてはカーポートの大きさやソーラーパネルの枚数にもよりますが、最低でも駐車場2台分で約200万円は必要となります。

既製品を導入するのではなく、オーダーメイドで発注する場合はさらに費用が必要です。

ソーラーカーポートを導入する際にかかる本体価格や設置費用の相場については、以下で詳しく解説しています。ソーラーカーポートの予算策定時にご活用ください。

【関連記事】ソーラーカーポートの設置にかかる費用とは?本体価格や設置費用の相場

3.利便性を損なわないタイプを選ぶ

ソーラーカーポートには片持ち屋根と両持ち屋根のタイプがありますが、両持ち屋根のタイプは駐車しにくくなり、事故による修繕が必要になる可能性もあります

片持ち屋根のタイプであれば、駐車時に柱が邪魔になることなく利用できます。

また、ソーラーカーポートの種類には、太陽光パネルがカーポートを統合されたタイプや、後からカーポートの屋根に太陽光パネルを取り付けるタイプもあります。

素材が透明であったりポリカーボネートを使用しているカーポートは、太陽光パネルを後から設置できないため、注意が必要です。

設置時は利用者の利便性も考えた形状のものを選ぶことが重要です

4.補助金を活用する

ソーラーカーポートを設置する際に活用できる補助金があり、補助を受けることで設置費用を抑えられます

補助金の一つとして、ソーラーカーポートの導入支援を目的とした補助金事業である、「再生可能エネルギー事業者支援事業費(駐車場を活用した太陽光発電設備(ソーラーカーポート)の導入を行う事業)補助金」があります。

当補助金は、民間企業だけでなく一般社団法人や学校法人、医療法人、社会福祉法人、独立行政法人も対象です。補助金交付の条件や交付額、補助率は以下の通りです。

・主な条件

・発電量の50%以上を敷地内で自家消費すること。

・『(太陽光発電設備等の補助対象経費』×2/3÷(パワーコンディショナの最大定格出力)』が以下の基準を下回るものであること。

10kW未満:27.25万円/kW
10kW以上50kW未満:26.44万円/kW
50kW以上:17.84万円/kW

・パワーコンディショナの最大定格出力の合計が5kW 以上であること。また、積載率(太陽光発電モジュール容量÷パワーコンディショナの最大定格出力)は、1以上であること。
・停電時に電力供給可能とするシステム構成であること。
・固定価格買取制度(FIT)の認定又は FIP制度の認定を取得しないこと。 など

・交付額と補助率

上限1億円、補助率3分の1

出典:一般社団法人 環境技術普及促進協会「ソーラーカーポート事業 公募要領」http://eta.or.jp/offering/23_04_shin1/files/02_4hd_kouboyouryo_1.pdf

ソーラーカーポートの導入による電気代削減については以下でもご紹介しております。
ソーラーカーポートの導入により電気代削減が可能です

5.設置費用を抑える制度を活用する

補助金以外にも設置費用を抑えられる制度があり、これらを活用することも選択肢の1つです。たとえば「オンサイトPPA」や「リースモデル」といった制度があります。

オンサイトPPAは、発電事業者に自社の敷地を貸し、事業者がそこに設置した発電施設から電気を購入する方法であり、リースモデルは自社の敷地にリース事業者の所有する発電設備を設置し、そこで発電した電気を自社で使用する方法です。

両者とも発電設備を自社が保有する形式でないため、初期費用をかけずに導入できます

6.建築確認申請をする

先述のように、ソーラーカーポートは建築物であるため、床面積が10㎡を超える場合は、「建築確認申請」を行う必要があります

申請時に必要な書類は地域や建物によって異なるため、設置業者や自治体の担当部署などに確認して準備しておきましょう。また、申請手続きを代行する業者もあるため、業者に代行してもらうのも一つの手段です。

建築申請には、15万円から30万円程度の費用がかかるため、予算に入れておきましょう

建築確認申請は以下の流れで行います。

1. 自治体の担当部署あるいは指定確認検査機関に対し、建築確認申請を行う
2. 自治体による確認完了後、建築確認済証が交付される
3. 工事を着工する
4. 建物の建築後に「完了検査」を申請する
5. 完了検査を受け、検査済証が交付される

以上のプロセスでソーラーカーポートの設置は完了となります。

ポイントを押さえてソーラーカーポートを設置しましょう

ご紹介したポイントを押さえることで、ソーラーカーポートの導入費用を抑えて手間をかけることなく設置でき、設置後に効率的な発電を行うことが可能となります。

ソーラーカーポートすっきりGXは片持ち屋根タイプであり、利用者の利便性が高く、修繕が必要となるリスクを軽減できます

また、コンクリート基礎が不要な工法で設置するため施工期間が短く、煩雑な建築許可申請作業もすべて業者に委託できるため、発注から設置までの期間を大幅に短縮可能です。

ソーラーカーポートすっきりGXについてご興味のある方は、以下のサービス資料をぜひご覧ください。

お役立ち資料

失敗しないソーラーカーポートの選び方
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近年、太陽光発電設備の導入が進み、その中で注目を集めているのが、 デッドスペースである企業の駐車場の屋根上に設置できる「ソーラーカーポート」です。 本書では、ソーラーカーポートに関して、導入前に準備・確認しておくことや、施工業者の選び方などを、チェックポイント形式でご紹介します。
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